全国のメダカ愛好家やオンラインコミュニティの現場を調査すると、卵そのものの管理以前に「親魚のいる飼育容器内」ですでにカビの悲劇が始まっているケースが目立ちます。特に100円ショップ等で販売されているチュール生地や研磨パッドを用いた自作産卵床の取り扱いには、多くの落とし穴が潜んでいます。
よくある失敗パターンが、「産卵床を水槽内に1週間以上沈めたまま放置する」という行為です。飼育水中の有機物や親メダカの排泄物、餌の食べ残しが付着した産卵床は、水カビ菌にとって格好の培養基(コロニー)と化します。そこにメダカが産み付けた卵は、産卵された瞬間から高濃度の菌糸に包まれることになり、隔離する前に感染してしまうのです。これを防ぐためには、産卵床の衛生管理とカビ予防をルーティン化しなければなりません。
産卵床は最低でも「2〜3日おき」に回収して卵を採取し、回収後の産卵床は熱湯消毒(80℃以上で数分間)や天日干しを行って完全に殺菌・乾燥させるローテーション運用が鉄則です。常に予備の清潔な産卵床と入れ替えることで、水槽内の菌圧を極限まで下げることが可能になります。
それでも万が一、隔離容器内で白くカビてしまった卵を発見した場合はどうすべきか。そこで求められるのがカビが生えた卵の安全な除去方法です。菌糸が出ている卵を指や大雑把な網で触ると、菌糸の破片や胞子が容器内に飛び散り、周囲の有精卵に二次感染を引き起こします。先端の細い「精密ピンセット」や「先細スポイト」を使用し、カビた卵を絶対に潰さないよう、付着糸ごと静かに吸い上げるか摘み取って容器外へ隔離・廃棄してください。作業後は、念のため容器の水を半分以上新しい水道水へ交換するのが現場の知恵です。