愛知県新城市四谷の千枚田は、訪れる季節によって全く異なる表情を見せます。写真愛好家や観光客が最も集中するのは、田んぼに水が張られる春の「水鏡」の季節ですが、四季それぞれの風情にも見逃せない価値があります。
春(4月下旬〜5月中旬):水鏡の絶景と田植え
田植えの準備として棚田全体に水が張られるこの時期、階段状の水面が空の色を反射し、息をのむような「水鏡」が誕生します。特に風のない早朝や夕暮れ時、鞍掛山の緑と朝焼け・夕焼けが水面に映り込む情景は、全国の棚田でもトップクラスの幻想的な景観を誇ります。5月中旬を過ぎると田植えが本格化し、青々とした早苗が植え付けられていきます。
夏(6月〜8月):生命力あふれる緑の絨毯
すくすくと育った稲が斜面一面を鮮やかなエメラルドグリーンに染め上げます。谷を渡る爽やかな風が稲穂を揺らし、山間部ならではの澄んだ空気とヒグラシの声が響き渡る日本の夏を体感できます。
秋(9月中旬〜10月上旬):黄金色の波と彼岸花
実りを迎えた稲穂が黄金色の波となり、急斜面を黄金に染め上げます。あぜ道には赤い彼岸花(ヒガンバナ)が咲き乱れ、黄金の稲と深紅の花、黒々とした石垣とのコントラストが際立ちます。刈り取られた稲を木組みに掛けて天日干しする「ハザ掛け」の風景も、往時の営農の姿を今に伝える風物詩です。
冬(12月〜2月):静寂の石垣と雪化粧
観光客の足が遠のく冬は、雪が薄っすらと積もった石積みの幾何学模様が浮かび上がり、山間の静けさの中で研ぎ澄まされた造形美を鑑賞できます。