宿泊業界における顧客獲得競争も、次元の異なるステージへ突入した。かつてペット可の宿といえば、郊外のペンションや一部の古びた温泉旅館が主流だった。しかし現在、その主役に躍り出たのは外資系の超高級ホテルや、国内大手のラグジュアリーリゾートだ。
チェックインの瞬間から、サービスの手厚さに驚かされる。専属のペットコンシェルジュが手作りのウェルカムトリーツで出迎え、部屋にはデザイナーズ家具と見事に調和した専用ベッドやアメニティが並ぶ。夕食時には、ミシュラン星付きシェフが監修したオーガニック食材の「ドッグ用フルコース」が運ばれてくる始末だ。「留守番させる罪悪感」に苛まれていた富裕層やミレニアル世代にとって、これらのホテルは単なる宿ではなく、かけがえのない思い出を共有するための「目的地」そのものとなっている。