ネット上のレシピ情報には、「モツの脂を落としすぎないために下茹では不要」「強火で一気に煮詰めるのが博多流」といった誤解が散見されますが、これらはプロの調理科学とは異なります。
モツから出る脂は、冷めると固まる飽和脂肪酸が多く含まれています。下茹でを完全に省略すると、鍋の表面に数ミリ厚の油膜が張り、味噌の発酵香が油で密閉されて鼻に届かなくなってしまいます。45秒のサッと下茹では、脂を落とし切るためではなく、「酸化した表面の脂膜を除去し、新鮮な脂の甘みを引き出す」ための必須工程です。
また、火加減に関しても「煮立たせ続けない」ことが肝要です。味噌は沸騰状態が続くと香気成分が揮発し、タンパク質が凝固してざらつきが出ます。具材がしんなりしたら弱中火に落とし、フツフツと静かに煮える状態を維持することが、最後までなめらかなスープを保つ秘訣です。