三木谷氏のビジネスパーソンとしての歩みは、日本のエリートコースの王道を歩みながらも、既存のレールを自ら壊して前進する連続でした。
1965年に兵庫県神戸市で生まれた三木谷氏は、学術的な名門一家で育ちました。父親は神戸大学名誉教授で日本金融学会会長も務めた著名な経済学者・三木谷良一氏、母親の松井セツ子氏も留学経験を持ち商社に勤務した経歴を持つ国際派です。幼少期には父の客員教授赴任に伴い米国エール大学のあったコネチカット州で過ごすなど、早くからグローバルな視線に触れていました。
国内屈指の名門である一橋大学商学部に進学後は、体育会硬式テニス部に所属し、主将として厳しい練習に明け暮れました。大学卒業後の1988年、当時「日本一の頭脳集団」と称された日本興業銀行(現・みずほ銀行)に入行。国際部や企業金融開発部で大型M&Aや資金調達の実務を経験します。行費留学制度を勝ち取り、米国ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)でMBAを取得したことが、起業への決定的な契機となりました。
1995年の阪神・淡路大震災で叔父叔母を亡くし、故郷神戸の壊滅的な光景を目の当たりにした三木谷氏は、「人生は一度きりであり、安定に甘んじることなく社会に大きなインパクトを与える事業を起こさねばならない」と決意。当時誰もが羨望した興銀を退職し、コンサルティング会社「クリムゾングループ」を立ち上げた後、1997年5月に従業員わずか6名で「楽天市場」をスタートさせました。