家庭内で発生するスイカ関連の動物事故で最も深刻なのが、「皮」と「種」の誤飲による消化器障害です。「人間が食べるように三角に切ってそのまま犬に差し出す」行為は、獣医学的には極めて危険な行為と言わざるを得ません。
スイカの外皮(緑色の硬い部分)は強固なセルロースなどの不溶性食物繊維で覆われており、犬の消化酵素では全く分解できません。咀嚼せずに大きな塊のまま飲み込んだ場合、食道に詰まって窒息を起こすか、胃を通過した後に細い小腸壁に引っかかり、命に関わる腸閉塞(イレウス)を引き起こすリスクがあります。腸閉塞を発症すると激しい激痛、頻回な嘔吐、脱水が急激に進行し、数時間から半日以内の緊急開腹手術を余儀なくされるケースも珍しくありません。
また、黒い種や白い未熟な種についても徹底的な除去が求められます。大型犬が数粒の種を誤飲した程度であれば糞便と共に排出されることもありますが、超小型犬や小型犬の内臓径は非常に狭く、種であっても腸管を刺激して急性腸炎や通過障害を誘発します。種には微小ながら消化器系を刺激する成分も含まれるため、給与時は「赤い果肉部分のみを切り出し、種を一粒残らずピンセット等で目視確認して取り除く」作業が絶対条件です。