札幌コンサートホールKitaraの最大の特徴であり、世界中の演奏家を虜にしてやまない理由が、妥協なき音響工学の粋を集めた空間設計です。「優良ホール100選」にも選定されている同ホールは、東京のサントリーホールやロサンゼルスのウォルト・ディズニー・コンサートホールを手がけた世界的音響設計事務所「永田音響設計」が設計を担当しました。
大ホールに足を踏み入れると広がるのは、客席がステージを取り囲む「アリーナ型(ヴィンヤード型)」の壮麗な空間です。ステージから放たれた音がホール全体へと均一に拡散するよう、壁面には北海道産のトドマツ材や大理石、精緻な計算に基づく不規則な凹凸形状が施されています。
特筆すべきは、満席時で約2.0秒、空席時で約2.3秒という豊かな残響時間です。ピアニッシモ(極めて弱い音)の繊細な弦の擦過音から、フルオーケストラによる大迫力のトゥッティ(全奏)まで、音が濁ることなくクリアに分離しながら、豊潤な余韻となって天から降り注ぎます。来日した海外の名指揮者が「ホールの壁自体が楽器のように呼吸している」と賛辞を贈ったエピソードは、音楽ファンの間でも語り草となっています。
さらに、大ホールの正面に君臨する巨大なパイプオルガンは、フランスの名門「アルフレッド・ケルン社」の手による逸品です。総パイプ本数4,976本、ストップ数68を誇り、北海道の大自然と針葉樹林をイメージしたデザインが施されています。オルガンから放たれる荘厳な重低音は、ホールの空気そのものを振動させ、聴く者の全身を震わせる圧倒的な感動を生み出します。