記者がどれほど厳しい言葉で問い詰めても、返ってくるのは斜め上の誠実さだった。相手の予想を裏切る回答が相次ぐにつれ、会見場を覆っていた重苦しい空気は徐々に奇妙な雰囲気に包まれていった。報道陣の追及の手が緩み、思わず失笑や困惑の声が漏れ始める。
怒りや正義感を振りかざしていた世論も、生中継画面越しにその光景を目撃して拍子抜けした。嘘をついて保身に走るのではなく、己の愚かさやパニック状態をそのまま晒し出す姿。それが結果として視聴者の攻撃性を奪い、嘲笑からある種の親近感へと感情のベクトルを旋回させたのである。