解剖学的な見地において、母指球(拇趾球・拇指球)は手掌(手のひら)および足底(足の裏)の第1指(親指)の付け根に位置する肉厚な隆起部を指します。ボール(Ball of the foot)とも通称され、ヒトの運動機能において中枢的な役割を担っています。
手における母指球は、短母指外転筋・短母指屈筋・母指対掌筋などの筋群によって構成され、親指を他の指と向かい合わせて物をつまむ「対掌運動」を可能にしています。一方、足の母指球の直下には通常2つの種子骨(内側・外側)が腱の中に埋め込まれており、歩行やジャンプの衝撃を分散するクッションとしての役割を果たしています。
この手足のクッションと筋肉群が正常に機能することで、私たちは意識せずとも滑らかな歩行や精密な手作業を行うことができます。しかし、局所への偏った圧力や過度な負荷が加わり続けると、構造そのものが破綻をきたし、頑固な痛みや機能不全へと直結することになります。