映画『ちはやふる』野村周平のハマり役伝説と10年目の激変秘話

映画『ちはやふる』野村周平のハマり役伝説と10年目の激変秘話

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2部作として公開された映画『ちはやふる 上の句』『ちはやふる 下の句』から、完結編となった映画『ちはやふる -結び-』に至る歩みは、そのまま野村周平という俳優の表現力が成熟していくドキュメントでもありました。瑞沢高校かるた部を創設し、部長として仲間を支える献身的な姿を描いた前編から、自身の限界と向き合い部を去る決断を下す完結編まで、グラデーションのように深まる太一の孤独を演じ切っています。

なかでもファンの間で今も語り継がれているのが、映画『ちはやふる -結び-』における野村周平の告白シーンです。部室で千早と二人きりになった瞬間、長年胸の奥底に押し殺してきた想いを吐露する場面で見せた表情は、多くの映画ファンの涙を誘いました。告白の言葉を口にした直後、想いが通じないことを瞬時に悟り、千早の瞳を見つめながら無理に浮かべた歪な微笑み――あの数秒間に凝縮された演技力は、各メディアの映画レビューでも満場一致の絶賛を浴びました。

この場面について小泉徳宏監督は、当時のメイキングやインタビューで「太一の感情が決壊するあの瞬間、野村周平は完全に役そのものとして生きていた。テイクを重ねるごとに削ぎ落とされ、研ぎ澄まされていった」と述懐しています。自身の弱さを認めて瑞沢かるた部を離れ、名人・周防久志(賀来賢人)のもとで独自の道を模索する太一の姿は、王道のスポ根青春映画の枠組みを超えた人間ドラマとしての深みをもたらしました。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

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