夜の酒場パートと絶妙なコントラストを生み出しているのが、ワカコが勤める会社のオフィスシーンです。先輩社員・オカダ主任を演じる山田キヌヲは、数多くの映画やドラマでリアリティある女性像を演じてきた実力派。職場の適度な緊張感と、同僚同士の何気ないランチトークに漂う「日常の質感」を見事に体現しています。
後輩ポジションのアベちゃん役を務める渡部瑞貴の屈託のない笑顔や世間話も、ワカコが抱える日常の小さな疲労感を自然に浮き彫りにし、それが夜のソロ呑みへの最高のカタルシスへと繋がっていきます。
また、『ワカコ酒』を語る上で外せないのが、2015年に放送されたショートアニメ版の存在です。アニメ版で村崎ワカコを演じたのは、日本屈指の実力派声優・沢城みゆきでした。
約3分という短い放送枠の中で、沢城みゆきが紡ぎ出すリズミカルで艶のあるモノローグと、小気味よい「ぷしゅー」の吐息は、アニメファンのみならず原作読者を瞬時に虜にしました。実写版の武田梨奈が「表情と全身で味わうリアルな多幸感」を表現しているのに対し、アニメ版の沢城みゆきは「脳内に直接響く至高の内面独白」を確立しており、双方のアプローチが見事な相乗効果を生んでいます。