ファンが長年抱き続ける「なぜ2期が制作されないのか」という疑問に対し、アニメ産業の収益構造と当時の市場データから冷徹な事実を検証します。制作を手がけたスタジオディーンによる美麗な映像演出と、耽美的な世界観の構築は高く評価されたものの、続編制作のゴーサインを出すための商業的ハードルは極めて高いものでした。
最大の障壁となったのは、2010年代初頭のアニメビジネスにおいて続編決定の最重要指標とされていた「Blu-ray/DVD(パッケージ)の販売枚数」です。当時の業界内で2期制作の黒字ライン(採算分岐点)は平均4,000枚〜5,000枚とされていましたが、大手オリコンデータ等の集計によると、本作の円盤初動売上は全巻平均で約1,000枚〜1,500枚前後にとどまりました。
加えて、以下の3つの構造的要因が続編制作の可能性を事実上閉ざしています。
- 原作プロモーション期間の終了:はっとりみつる氏による原作漫画(講談社『別冊少年マガジン』)は2014年10月号(全11巻)をもって円満完結を迎えており、出版社側が巨額の製作出資金を投じてアニメで販促を打つ時期をすでに過ぎている点。
- 当時の配信プラットフォーム収益の低さ:2012年当時は現在のNetflixやU-NEXT、dアニメストアのような「配信権料による先行回収モデル」が確立されておらず、円盤不振を配信利益でカバーするエコシステムが存在しなかった点。
- アニメ1期におけるストーリーの区切りの良さ:第1期(全12話)において、物語前半の最大の山場である「父・散華団一郎との対峙と訣別」までを描ききっており、商業作品としての最低限の着地を完了させていた点。
ネット上では「内容が過激すぎて打ち切りになったのではないか」という憶測も散見されますが、これは明白な事実誤認です。原作は打ち切りではなく作者の構想通り全11巻で描き切られており、アニメも放送事故や途中終了ではなく、当初予定されていた1クール12話の放送枠を予定通り完遂しています。