彼の歩みを振り返る上で欠かせないのが、1970年代から80年代にかけてのジェフ・ゴールドブラムの若い頃の躍進です。1974年の映画『狼よさらば』での鮮烈な端役デビューを経て、奇才デヴィッド・クローネンバーグ監督による1986年の名作SFホラー『ザ・フライ』で科学者セス・ブランドル役を熱演。ハエと融合し徐々に崩壊していく男の悲哀を全身全霊で演じ切り、世界的な実力派スターとしての地位を確立しました。
そして1993年、スティーヴン・スピルバーグ監督の歴史的メガヒット作『ジュラシック・パーク』で演じた数学者イアン・マルコム博士は、彼のキャリアにおける最大のアイコンとなります。混沌(カオス)理論を唱え、黒ずくめのシャツをはだけさせながら皮肉を飛ばす姿は、知性派俳優としての絶対的な記号となりました。続く超大作『インデペンデンス・デイ』での天才科学者デイヴィッド・レヴィンソン役とあわせ、1990年代を代表するSF映画の象徴として世界中の観客の記憶に深く刻み込まれています。