亜光の討ち死には、単に戦力の一角が崩れたという事実に留まらない。王翦軍において「不敗の陣」の要であり、実質的な軍の精神的支柱であった亜光を失ったことは、秦国軍全体に計り知れない打撃を与えた。特に、これまであらゆる戦況を冷徹に見極めてきた総大将・王翦自身にとっても、手中にあった最も確かな「盤石の手札」を壊された意味合いは大きい。
さらに、同僚である麻鉱に続く亜光の討死により、王翦軍の幹部層は壊滅的な損害を被ることとなった。前線の指揮系統が乱れ、絶対的防衛網が突破されたことで、秦国の対趙戦略は根本からの再構築を迫られている。戦場に漂う絶望感と、前線を失った焦燥感は、今後の戦いに暗い影を落とすことになった。