カレーラーメンを調べる際、多くの旅行者が直面するのが「苫小牧の味の大王」と「室蘭の味の大王」の存在です。ネット上では「どちらが本物なのか」「味は同じなのか」といった疑問が頻繁に交わされていますが、これらは対立関係ではなく、同一のルーツから派生した暖簾分けの歴史を持っています。
系譜を整理すると、創業者の高橋一郎氏が苫小牧で創業した直営の流れを汲むのが「総本店(植苗)」を中心とする苫小牧グループです。一方、創業者の弟である高橋勝氏が室蘭市輪西に店舗を構え、独自の改良を加えて発展させたのが室蘭グループ(室蘭本店、中島店など)となります。
両者の最大の違いは「スープの設計思想」にあります。苫小牧系は豚骨のまろやかさとルーのとろみが前面に出た「濃厚とろみスタイル」であり、具材にはモヤシやワカメが乗るのが定番です。これに対し、室蘭系はスパイスの辛さと刺激を際立たせ、ややサラリとした口当たりのスープにチャーシューとネギをシンプルに合わせる傾向があります。室蘭では「室蘭カレーラーメンの会」が発足し、全国的な町おこしブランドへと昇華させました。どちらが優れているかではなく、濃厚さを極めた苫小牧と、スパイスのキレを極めた室蘭という、それぞれの個性を楽しむのが正しいアプローチです。