東京都杉並区善福寺の地に鎮座する井草八幡宮の歴史は極めて古く、境内周辺からは縄文時代の住居跡や土器が発掘されるなど、太古の昔から人々の祈りの場であったことが証明されています。神社としての創建は平安時代末期にまで遡ります。
武家からの崇敬を決定づけたのが、鎌倉幕府を開いた源頼朝の存在です。文治5年(1189年)、奥州藤原氏征討(奥州合戦)へ向かう途次の頼朝は、この地に立ち寄って戦勝を祈願しました。見事に奥州平定を果たした頼朝は、帰途に感謝の証として自ら松の苗を2本植えたと伝えられています。
この「頼朝の手植えの松」は長年、国の天然記念物に指定される名木として親しまれました。枯死した現在は、巨大な根株の一部が境内の廻廊内に大切に保存・展示されているほか、二代目・三代目の松が境内に植樹され、当時の武士たちの篤い信仰を今に伝えています。さらに室町時代の文明9年(1477年)には、名将・太田道灌が石神井城の豊島泰経を攻めるにあたり戦勝祈願を行った記録も残されており、まさに歴史を動かした武将たちの勝負所を支えてきた聖地です。