釈迦は本名をゴータマ・シッダールタといい、現在のネパール南部に位置するルンビニ(釈迦生誕地)でシャカ族の王子として生を受けた。贅沢を尽くした宮殿生活が約束され、美しい妃や子にも恵まれていた青年期。しかし、豪奢な日常は彼の精神的な飢餓感を埋めることはできなかった。
伝説が伝える「四門出遊」のエピソードは象徴的だ。東・南・西・北の門を出るたびに老人、病人、死者、そして出家者と遭遇したシッダールタは、若さも健康も富もすべて無常であり、逃れられない苦悩であると思い知る。29歳のある夜、彼はすべてを投げ打って王宮を脱出した。
当時流行していた極端な苦行に身を投じ、骨と皮ばかりになるまで断食を重ねたものの、そこに救いはなかった。身体を痛めつけるだけでは執着を断ち切れないと見抜いた彼は、苦行を放棄。尼僧から乳粥の供養を受けて体力を回復し、ブッダガヤの菩提樹の下で瞑想に入った。35歳で完全な覚醒を得た彼は、ここに「釈迦牟尼(仏陀)」——シャカ族の聖者にして目覚めた者となった。