千秋楽の館内アナウンスが響き渡る中、賜杯を手にしたのは、場所前の下馬評を覆し、圧倒的な集中力で土俵を務め上げた大関・大の里でした。14日目を終えた段階でトップに並んでいたのは2敗の大の里と、それを1差の3敗で追う実力者たち。千秋楽の本割、結び前の一番で繰り広げられた攻防は、まさに今場所を象徴する壮絶な肉弾戦となりました。
立ち合いから鋭く踏み込み、強烈なおっつけで相手の上体を起こすと、土俵際での逆転を許さず一気に寄り切り。勝負が決まった瞬間、館内には地鳴りのような拍手が轟き、花道を引き揚げる新王者の目には光るものがありました。支度部屋で行われた優勝インタビューで、大の里は息を整えながら次のように心境を吐露しています。
「初日から一日一番、無心で自分の相撲を取り切ることだけを考えていました。土俵に上がれば余計な雑音は一切遮断し、部屋の親方や応援してくださる方々の声だけを信じて前に出ました。賜杯の重みを感じると同時に、ここからが本当の試練だと身が引き締まる思いです」
天皇賜杯の行方が千秋楽の最後の瞬間まで定まらなかった今場所。土俵際で見せた勝者の冷静さと、極限状態での判断力が、栄冠を引き寄せる最大の原動力となったことは疑いようがありません。