生前の坂口良子さんと杏里さんの関係は、深い愛情で結ばれていた一方で、複雑な葛藤を内包していました。良子さんはバラエティ番組に親子で共演するなど、芸能界入りした娘を誰よりも後押しし、溺愛していました。
しかし、不器用で傷つきやすい気質を持っていた杏里さんに対し、母として時に厳しく接することもあり、思春期から青年期にかけては意見の衝突やすれ違いが絶えませんでした。良子さんは周囲に「この子を一人で生きていけるように育てなければ」と漏らしており、将来への不安を常に抱えていたと伝えられています。
また、母の再婚相手となった義父・尾崎健夫氏との関係性も、母の他界によって大きく揺らぎました。尾崎氏は良子さんの遺志を継ぎ、父親として杏里さんを支えようと手を差し伸べましたが、突然の母の喪失を受け止めきれない杏里さんとの間に心理的な溝が生まれました。やがてコミュニケーションは途絶えがちになり、家族としての結びつきは徐々に希薄化していきました。
一方で、杏里さんの実兄は一般企業に勤める堅実な職業を選択しており、芸能界やメディアの喧騒とは一定の距離を保ち続けています。兄妹それぞれの選択が、母亡き後の人生を対照的なものにしていきました。