長年、教育・若年層のキャリア問題を取材してきたジャーナリストの視点から言えば、大学の除籍問題の本質は単なる「手続きの不備」ではなく、日本の若者が直面するモラトリアムの破綻と、家族間の共依存問題にあります。
大学全入時代において、「大学へ行くのが当たり前」という親世代の価値観と、高騰する学費・生活コストとのギャップが広がっています。学費未納による除籍に追い込まれる学生の多くは、「親が学費を払えなくなっていることを打ち明けてくれなかった」あるいは「自分が留年して学費を無駄にしている罪悪感から親に相談できず、督促状を隠していた」という、親子の不健全な共依存や心理的バウンダリー(境界線)の機能不全を抱えています。
通知書が届いた今、最も危険なのは「現実から目を背けて引きこもること」です。除籍通知は、ある意味で曖昧な猶予期間(モラトリアム)を強制終了させ、自立した個人として人生の舵を握り直すための契機でもあります。ここで、読者が取るべき判断基準を提示します。
【復籍・再編入を全力で目指すべき人の条件】
・残りの必要単位数が少なく、1年以内の完納・卒業が現実的に見込める人
・取得したい国家資格(教員、看護師、薬剤師、公認会計士等)が大卒資格を必須としている人
・未納学費を自己のアルバイトや緊急ローン等で工面する明確な返済計画が立てられる人
【復籍に固執せず、方向転換(中退・就職・再出発)を選ぶべき人の条件】
・在学年数の上限が迫っており、単位の取得進捗が絶望的な人(多重留年状態)
・大学で学ぶ目的を見失っており、単に「大卒という世間体」だけのために多額の借金を重ねようとしている人
・親の経済破綻により、学費を支払う見込みが完全にゼロである人
後者の場合、無理に高利の借金をして復籍しても、さらなる多重債務に陥るリスクが高まります。それよりも、取得済みの単位を握りしめて通信制大学(放送大学等)へ転籍して働きながら卒業を目指すか、あるいは未経験採用に強い若年層向け就職支援を活用し、早期に社会人としての実務実績を積み上げる道を選ぶ方が、長期的には健全な再起を果たせるケースが多々あります。