連載当時からインターネット上やSNSコミュニティにおいて、伊黒小芭内ほど評価が激変したキャラクターは他にいません。物語中盤の柱合会議や合同強化訓練(柱稽古)の段階では、炭治郎に対してネチネチと嫌味を放つ陰険な印象が先行し、「腕力ランキングが低い」「上弦の鬼との単独討伐戦がない」といった断片的な情報から、その実力を疑問視する声も一部で見られました。
しかし、最終決戦においてその評価は180度覆ることになります。無惨との肉弾戦において、伊黒が叩き出した戦果はまさに驚異的でした。
鬼狩りたちを絶望させた無惨の驚異的な再生速度に対し、伊黒は自らの握力を限界突破させて「日輪刀を万力のごとく握り締め、自力で赫刀(かくとう)へと変化」させました。赫刀の発現は鬼の再生を劇的に遅延させる決定打であり、霞柱・時透無一郎に次ぐ単独での顕現という快挙です。さらに、極限の集中状態から脳内情報を削ぎ落とし、敵の体内構造を透視する「透き通る世界」をも垣間見せました。
ネット上では「伊黒は終盤まで温存されていたから活躍できた」という誤解が散見されますが、実際の戦闘推移を見れば、新上弦の肆・鳴女の空間操作に翻弄され続け、体力を激しく消耗した状態で地上戦へ引きずり出されています。ハンデを背負った状態から無惨の猛攻を一身に引き受け、炭治郎を庇って自らの顔面を削がれながらも食らいついた執念。蛇の呼吸の真価は、カタログスペック上の威力ではなく、「泥沼の長期戦において絶対に敵を逃さない執拗な生存力と急所攻撃力」にあったのです。