店舗の扉を開けると、そこは酒販スペースと立ち飲み 角打ちカウンターが美しく共存した空間です。角打ちと聞くと雑多な酒屋の隅を連想しがちですが、なら泉勇斎は奈良漆器の商家跡地に建てられており、高い天井でシーリングファンが静かに回る落ち着いた設えとなっています。
利用手順は極めて明快です。カウンター越しに手渡される試飲メニュー表から気になる銘柄を選び、その都度キャッシュオンデリバリー(都度会計)で注文します。試飲の価格帯は1杯(約50ml前後)200円〜500円程度と極めてリーズナブル。わずか千数百円の予算があれば、異なる蔵元や特定名称酒の日本酒飲み比べを3〜4杯手軽に楽しむことができます。
メニューに並ぶなら泉勇斎のおすすめ銘柄には、全国的にもファンの多い看板酒が目白押しです:
- 春鹿(今西清兵衛商店 / 奈良市):伝統のキレ味と旨口四段仕込ならではのふくよかな米の甘みが調和した、奈良町を代表する銘酒。
- 鷹長・風の森(油長酒造 / 御所市):菩提酛造りを復活させた濃密な旨味の「鷹長」や、フレッシュな微炭酸と果実香が弾ける現代地酒の最高峰。
- みむろ杉(今西酒造 / 桜井市):酒の神が鎮まる三輪の地で醸される、透明感あふれるジューシーな旨味と美しい酸が特徴の一本。
- 篠峯(千代酒造 / 御所市):研ぎ澄まされた酸と米の旨味が見事に調和し、食中酒として抜群の完成度を誇る実力派。
これら個性豊かな美酒の相棒として外せないのが、厳選されたなら泉勇斎のおつまみメニューです。特に酒徒の舌を喜ばせているのが、味噌や醤油のルーツとされる古代の調味料「ひしお(醤)」を添えた一品(100円〜300円台)。大豆と大麦から作られた発酵の深いコクと塩味が、純米酒の芳醇なアミノ酸と見事なマリアージュを生み出します。さらに地元の老舗が漬け込んだ奈良漬や燻製チーズなど、日本酒の輪郭を際立たせる気の利いた酒肴が揃っており、お酒の個性を何倍にも引き立ててくれます。