作品中盤で鮮烈な印象を残す「青年(ひいじいじ)」役を務めた福山雅治。細田監督とはかつて対談をきっかけに親交を深め、本作での熱烈なオファーにより奇跡のコラボレーションが実現した。馬に乗り、バイクを乗りこなす武骨で力強い青年のキャラクターに、福山のアコースティックで響きのある低音ボイスが見事にシンクロしている。
アフレコ現場では、細田監督から「とにかく格好よく、だが生きる哀愁を滲ませてほしい」という高度なリクエストが飛んだ。福山は声のトーンを微妙にコントロールし、戦争を生き抜いた男の孤独と尊厳をわずかなセリフの中に凝縮。過剰な説明を削ぎ落とした静かな芝居でありながら、画面全体を支配する圧倒的なオーラを放った。この配役秘話を知った上で鑑賞すると、青年の言葉一つひとつに込められた歴史の重みがより一層心に響くはずだ。