黒木瞳が歩んできた女優としての軌跡は、まさに日本エンターテインメント界の歴史そのものと言ってよい。宝塚歌劇団に入団後、類稀なる気品と高い演技力で一気に頭角を現した彼女は、伝説のトップスター・大地真央の相手役として月組トップ娘役に就任。「第一期黄金コンビ」として空前の宝塚ブームを巻き起こした。この時期に培われた圧倒的な美意識とプロ意識が、後の女優人生の基盤となったことは疑いようもない。
退団後もその才能は衰えることなく、東宝配給の映画をはじめ、日本の映像業界で確固たる地位を築く。特に渡辺淳一原作の映画『失楽園』で見せた鮮烈で官能的な演技は社会現象を巻き起こし、日本アカデミー賞主演女優賞を受賞。一躍、日本映画界を代表する名女優としての階段を駆け上がったのである。