インターネット上で「いちごみるくが販売終了する」という憶測が瞬く間に広がった最大の引き金は、2022年後半から2023年1月にかけて報じられた「佐久間製菓株式会社」の廃業ニュースでした。映画『火垂るの墓』に登場する赤い缶入りの「サクマ式ドロップス」で知られる老舗企業が幕を閉じた際、報道の見出しに並んだ「サクマ」「ドロップス廃業」というワードが一人歩きし、一般消費者の間で「あのいちごみるくも消えてしまうのか」という誤った連想が連鎖してしまったのです。
この混乱の根本には、戦前・戦後の歴史に由来する「2つのサクマ」の存在があります。もともと1908年(明治41年)に創業した「佐久間製菓株式合資会社」がルーツですが、太平洋戦争による壊滅を経て、戦後に旧会社の関係者がそれぞれ別々に会社を再興しました。一方が赤缶の「サクマ式ドロップス」を製造していた佐久間製菓株式会社(2023年1月廃業)、もう一方が緑缶の「サクマドロップス」や「いちごみるく」を展開するサクマ製菓株式会社(現存・東京都目黒区)です。
資本関係も経営母体も完全に独立した別企業であるにもかかわらず、社名の類似性から一般層での識別は極めて困難でした。当時、サクマ製菓側にも問い合わせが殺到しましたが、公式にも「弊社は通常通り営業を継続しており、いちごみるく等の商品供給に影響はない」旨のアナウンスがなされ、現在に至るまで安定した生産が続けられています。