幼少期から類まれなピアノの才能を発揮していた彼は、10代で指揮の道を志した。その原点であり、終身芸術監督・首席指揮者として今なお強い絆で結ばれているのがモントリオール・メトロポリタン管弦楽団だ。巨大な名声を得た後も故郷のアンサンブルを大切にし、地元コミュニティとともに音楽を育てる姿勢は変わらない。
名匠カルロ・マリア・ジュリーニに師事して学んだ「楽譜への絶対的な誠実さ」を胸に刻みつつも、彼のリーダーシップはかつての暴君型指揮者とは対極にある。団員一人ひとりの自発性を引き出し、オープンな対話を通じてアンサンブルの極限を追求する。カラフルなファッションや鍛え上げられた肉体、親しみやすい笑顔の裏には、スコアを徹底的に読み解く緻密な知性が宿っている。