ファンタジーの厚いヴェールを剥ぎ取り、一次史料から忍者の実像を科学的に解き明かす試みも急速に進んでいる。その中核を担うのが、三重大学国際忍者研究センターだ。古文書の緻密な解読や薬草学、天文学、心理戦術の分析を通じて浮かび上がるのは、超能力者ではなく「情報収集と危機管理の究極のスペシャリスト」としての姿である。
この学術研究の成果を体感できる拠点が伊賀流忍者博物館だ。一見すると変哲もない茅葺き農家の中に隠された「どんでん返し」や隠し階段、刀隠しの仕掛け。からくり屋敷の実演を目の当たりにすると、知恵だけで乱世を生き抜いた忍びたちの執念と合理性に言葉を失う。単なるアミューズメント施設にとどまらない、歴史の深淵がここにある。