2008年3月、細木氏はTBS系列の看板番組『ズバリ言うわよ!』や、フジテレビ系列の『幸せって何だっけ〜カズカズの宝話〜』など、すべてのレギュラー番組から一斉に姿を消しました。公式会見で発表されたテレビ降板理由は、「本業である占いの勉強に専念するため」「これ以上メディアに出て言葉を消費したくない」という極めて前向きな言葉で飾られていました。
しかし、編成幹部や番組関係者の証言が示す現実は、自発的な勇退などではなく、民放各局による「実質的な追放・契約終了」でした。当時、テレビ界を取り巻く環境は激変の過渡期にありました。最大の引き金となったのは、主に以下の3点です。
- 民放連による暴力団排除基準の厳格化:2011年の各都道府県における暴力団排除条例の全面施行に先立ち、テレビ局は反社会的勢力との関わりが疑われるタレントの排除へと急速に舵を切っていました。溝口氏の報道によって「黒い交際」が活字化された細木氏は、スポンサー企業にとって最大のコンプライアンスリスクとなったのです。
- 消費者庁設立に向けた「霊感商法批判」の激化:番組内でゲストや一般相談者に対して「あんた死ぬわよ」「先祖の供養が足りない」と過度な恐怖を植え付け、裏で数百万円から1,000万円以上する高額な墓石や仏壇、開運グッズを購入させていた実態が問題視され、弁護士団体等からの抗議が殺到していました。
- 視聴率の低下とスポンサー離れ:疑惑報道以降、視聴者センターへのクレームが急増。ナショナルクライアントが次々と番組提供から降りる動きを見せ、テレビ局側として彼女を起用し続ける経済的メリットが完全に消滅しました。
公の電波を使って大衆の不安を煽り、自らの鑑定ビジネスや物品販売へと誘導する手法に対して、霊感商法批判の包囲網が完成した瞬間でした。華々しい幕引きを装いながら、彼女はメディアの表舞台から事実上、追放されたというのが業界内の一致した見解です。