この流出劇の背景を語るうえで避けて通れないのが、Winnyの開発者である天才プログラマー・金子勇氏の存在である。彼は純粋な技術的探求心から優れたP2Pソフトを開発したが、ソフトが著作権侵害や情報漏洩に使われたことを理由に著作権法違反幇助の容疑で逮捕・起訴されるという、異例の事態に発展した。
実業家の西村博之氏をはじめとする多くの著名人やエンジニアが「技術開発そのものを罪に問うべきではない」と強い声を上げ、長年にわたる法廷闘争へと発展。最終的に金子氏は最高裁で無罪判決を勝ち取ったものの、日本のソフトウェア開発現場に与えた萎縮効果は計り知れない。後年、この波乱に満ちた経緯は映画『Winny』として映像化され、技術者の権利と法的責任のあり方について、改めて社会に問いかけることとなった。