言葉のルーツを辿ると、バレンタインデーの歴史は想像以上に深い。3世紀のローマにおいて、兵士の結婚禁止令に背いて若い恋人たちの挙式を執り行い、処刑された司教ウァレンティヌス(聖バレンタイン)。彼が獄中から信者の娘へ送った手紙の結び言葉が、現代のカード文化の源流になったという説はあまりにも有名だ。
中世から近世へと時代が下ると、この日に詩を贈る習慣が貴族や市民の間に広がった。なかでも文豪ウィリアム・シェイクスピアは、戯曲『ハムレット』の中でオフィーリアにバレンタインの伝承を歌わせるなど、言葉による愛の表現を芸術の域へと昇華させた。彼が紡いだ韻律やドラマチックな表現の美学は、今なお英語圏の愛の語彙の骨格を成している。