『千と千尋の神隠し』の舞台を巡る議論において、長年ネット上で広まり続けている最大の誤解が「台湾の九份(きゅうふん)がメインモデルである」という言説です。赤提灯が灯る石段の街並みが劇中の不思議の街に似ていることから、多くの旅行ガイド本やWebメディアで聖地として紹介されてきました。
しかし、この噂について宮崎駿監督本人は、過去の公式な取材において「九份に行ったことはなく、モデルにした事実はない」と明確に否定しています。スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーも同様の趣旨を回答しており、九份モデル説は観光業界のプロモーションやファンの視覚的連想が独り歩きして定着した都市伝説に過ぎません。
また、岡山県真庭市の湯原温泉にある「油屋」という同名の老舗宿も話題に上りますが、こちらも屋号が一致している歴史ある名宿であるものの、ジブリ側が直接の舞台モデルとして指定したわけではありません。ファンが楽しむ分にはロマンがありますが、公式設定と民間のオマージュ・類似性はしっかりと区別して理解しておくことが大切です。