奥道後のランドマークとして知られた旧「ホテル奥道後」は、昭和40年代の高度経済成長期、来島どっくグループの創業者・坪内寿彦氏によって建設されたメガリゾートでした。巨大ジャングル温泉やロープウェイ、劇場などを備え、団体旅行全盛期には四国有数の集客力を誇った施設です。しかし、バブル崩壊と旅行需要の個人化・多様化に伴い、巨額の維持管理費と施設老朽化が経営を圧迫することとなりました。
転機が訪れたのは2014年のことです。抜本的な経営再建とブランド刷新が進められ、従来のマス観光向け施設から「豊かな大自然と良質な自家源泉を心静かに愉しむ温泉宿」へと舵を切りました。このホテル奥道後のリニューアル経緯において誕生したのが、現在の「奥道後 壱湯の守」です。昭和の記憶を残すスケール感を活かしつつ、客室の現代的モダン化、プライベート空間の拡充、そして何より源泉のポテンシャルを最大限に引き出す浴場再編が断行されました。
単なる延命措置ではなく、「奥道後の自然と共生する上質な湯守(ゆもり)」というアイデンティティを再定義したことこそが、今日に至る人気回復の原動力となっています。