原作者であり監督を務めた井上雄彦氏がスクリーンに描こうとしたのは、かつてのアニメの再現ではなく、コート上で繰り広げられる本物の息遣いと骨がぶつかり合う音だった。その緊迫感を表現するパートナーとして選ばれたのが、日本のロックシーンの最前線で泥臭く鳴らし続けてきたガレージロックとパンクロックの雄たちだ。
従来の「説明的な歌詞」を削ぎ落とし、バスケットボールのドリブル音やシューズがコートを擦る摩擦音とシームレスに混ざり合う尖ったビート。映画館の大音響システムで体感するその音響設計は、観客を観客席から一瞬で湘北対山王のアリーナへと引きずり込んだ。音楽が背景音にとどまらず、5人の選手と同等の「演者」として機能していた点がきわめて斬新だった。