もっとも、すべての山家暮らしが順風満帆というわけではない。憧れだけで山に入り、過酷な冬の雪かきや野生動物による被害、あるいは地域住民とのコミュニケーション不足によって数ヶ月で撤退を余儀なくされるケースも後を絶たない。
特に問題となるのが、急患時の医療搬送や道路の維持管理だ。自治体の財政が逼迫するなか、孤立した山家に居住する住民への行政サービス維持には限界がある。ドローンによる物資輸送や遠隔医療サービスのさらなる実用化が急務とされる一方で、地域社会のルールを守りつつ自律した生活を送るための個人側の準備と覚悟が不可欠であることは間違いない。