エイズを公表した有名人たちの多くが直面したのは、信じがたいほどのバッシングと精神的孤立だった。親しい友人たちの離反、出演契約の即時破棄、プライベートな医療情報の漏洩。華やかなステージの裏側で、彼らは人目を避けるようにして地下の診療所へ通い、あるいは偽名を使って投薬治療を受けていた。
こうした状況を打開するべく、国連合同エイズ計画(UNAIDS)や世界保健機関(WHO)といった国際機関は、セレブリティの発信力を活かしたアンバサダー戦略を展開。正しい知識の普及と人権擁護を世界中に訴えかけてきた。差別をなくすことこそが、感染拡大を防ぐ最大の防壁であるという共通認識が形成されていったのだ。
日本国内においても、公益財団法人エイズ予防情報センターなどの機関が中心となり、正確なエイズ予防・相談窓口情報の提供や正しい医学知識の啓発が続けられている。有名人たちの勇気ある告白は、単なるゴシップの消費で終わるのではなく、制度改革や患者支援の土台を築き上げる原動力となってきた。