トルコが世界地図上でどれほど特異な位置にあるかは、国境を接している8つの隣国の顔ぶれを見れば一目瞭然です。西側は平和な欧州連合(EU)圏に接続する一方で、東部や南部は国際紛争の震源地となってきた地域に直結しています。
- ヨーロッパ方面の隣国(北西):ギリシャ、ブルガリア
- コーカサス方面の隣国(北東・東):ジョージア、アルメニア、アゼルバイジャン(飛び地ナヒチェヴァン)
- 中東方面の隣国(南・南東):イラン、イラク、シリア
黒海を挟んだ対岸にはロシアとウクライナが位置し、地中海を隔てた南方にはキプロスやエジプトが存在します。この「四方八方を歴史的係争地や大国に囲まれている」という立地条件こそが、トルコ外交に独自のキャスティングボート(決定権)を握らせる源泉となってきました。
モントルー条約に基づき、ボスポラス海峡およびダーダネルス海峡を通航する軍艦の権利を管理しているのはトルコ政府です。黒海沿岸国以外の軍艦の進入を制限できる強い権限を持っており、地域の軍事的バランスを左右する鍵を握っています。世界地図上のこのわずか数十キロメートルの水路が、国際安全保障の重大なボトルネックとなっています。