ネット上で定期的にささやかれる「滝川屋旅館の休業説」ですが、結論から言えば宿は完全に暖簾を下ろしたわけではありません。ただし、かつてのように誰でも思い立ったときに泊まれる一般的な観光旅館の形態とは大きく異なっています。
休業という噂が広がった最大の背景には、ご主人の体調管理と歴史ある木造建築の維持管理に伴う「一時的な休館期間」や「予約受入の極端な制限」があります。関係者の証言によると、豪雪地帯である福島県猪苗代町横向の厳しい冬期において、除雪や建物の保全にかかる労力は莫大です。さらに、湯守が高齢化を迎える中で、館内の隅々まで行き届いた手料理ともてなしを維持するため、無理な受け入れを完全に排除した経緯があります。
「以前と同じペースで客室を回すことはできないが、この奇跡のような湯を途絶えさせるわけにはいかない」という宿側の強い意志のもと、現在は1日わずか1組から2組程度に限定し、日によって電話受付や宿泊を調整する営業形態をとっています。表立った宣伝を一切行わず、看板の明かりも必要最小限に留めているため、遠目には休館しているように見えてしまうことが、ネット上の「閉館・休業デマ」に拍車をかけました。