脂肪乳剤であるイントラリポス(10%・20%製剤)の投与において、最も厳格に遵守すべき指標が「脂肪として1時間あたり体重1kgあたり0.1g以下」という速度基準です。代謝能力の限界を考慮した場合でも、最大で0.15g/kg/hrを超えてはならないと規定されています。
成人の標準的な維持輸液において、イントラリポス注10%(500mL=脂肪50g)を使用する場合、体重50kgの患者であれば脂肪クリアランスを確保するために5時間以上(添付文書上の下限目安としても3時間以上)の時間をかけて持続点滴を行います。高濃度製剤であるイントラリポス注20%(250mL=脂肪50g)や100mL製剤の場合でも、液量が減ったからといって投与時間を短縮してはならず、体内に入る脂肪の総量と時間あたりの負荷量を基準に投与設計を組み立てる必要があります。
血中に入った脂肪粒子(カイロミクロン様粒子)は、血管内皮細胞に存在するリポ蛋白リパーゼ(LPL)によって分解・代謝されます。この酵素の処理能力には明確な上限があるため、時間あたりの上限を守ることが安全管理の第一歩です。