「すごい簡単」という言葉の解釈は、対象となる世代によって大きく異なります。都内の認可保育園で主任保育士を務める指導員は、折り紙簡単子供向けの現場について次のように証言します。
「4〜5歳児クラスで昔ながらの『ツル』を折らせようとすると、途中の袋を開いて潰す工程で半数以上が破いてしまい、強い挫折感を味わってしまいます。しかし、角と角をきっちり合わせなくても形が決まる『立体イヌ』や『指人形』を取り入れたところ、子どもたちが『自分でできた!』という有能感を獲得し、集中力が以前の2倍以上の25分間も持続するようになりました」
一方、作業療法士が介入する介護老人保健施設の高齢者向け折り紙レク現場では、また違った課題と効果が浮き彫りになっています。関東近郊のデイサービスセンターで行われた現場観察によると、複雑すぎる折り紙は関節リウマチや手指の巧緻性低下を抱える利用者にとって強いストレス要因になり得ることが判明しています。
「高齢者のリハビリテーションにおいて重要なのは、『難所を乗り越えること』ではなく『指先へ適度な固有受容感覚の刺激を与えながら、誇れる成果物を持ち帰ること』です。15分以内に完成し、部屋に飾って家族に褒められるような立体花や実用的な小鉢は、自己肯定感の回復と脳の前頭葉活性化に直結しています」(担当作業療法士)