家を手放す手段には、大きく分けて「仲介」と「買取」の2つのルートがあります。この2つの本質的な差を理解していない売主は、知らず知らずのうちに数百万円単位の損失を被る傾向があります。買取と仲介の違いと真相を解き明かすと、買取業者は仕入れた物件をリフォームして再販売することで利益を得るため、買取価格は市場相場のおよそ70〜80%程度まで下がります。
市場価格より目減りするにもかかわらず買取が選ばれるのは、「最短数日で現金化できる」「内覧対応の手間がない」「周囲に知られずに売却できる」「売却後の契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)が免責される」という明確な実利が存在するからです。相続した空き家や雨漏りリスクのある老朽物件では、あえて買取を選択する方が合理的な判断となる場面も少なくありません。
一方、より高い成約価格を目指して仲介を選ぶ場合、不動産会社と結ぶ「媒介契約」の種別が勝敗を分けます。専任媒介と一般媒介の違いを正しく把握していなければ、業界の悪しき構造に巻き込まれかねません。
一般媒介契約は、複数の不動産会社と同時に契約できるため、人気エリアの物件であれば業者間の競争原理が働き、早期かつ高値での売却が期待できます。しかし、不動産会社側から見れば「他社に成約を取られたら広告宣伝費が丸損になる」ため、広告掲載や営業活動の優先順位を下げられるリスクがあります。
対して、1社にのみ窓口を絞る「専任媒介契約(または専属専任媒介契約)」は、担当会社が自社の予算でポータルサイトへの積極掲載を行ってくれるメリットがあります。しかし、ここには業界で長年問題視されている「囲い込み(両手仲介狙い)」の危険が潜んでいます。他社から買い手希望の問い合わせが入っても、「すでに商談中」と嘘をついて断り、自社で直接買主を見つけるまで物件情報を市場から隔離する行為です。これにより、売主は適正なタイミングでの売却機会を奪われ、最終的に大幅な値下げを提案される構図が生み出されます。