『白日』の表現力を圧倒的な高みへ押し上げている要因が、類まれな表現力を持つ2人のボーカリストによる巧みなパート配分(歌い分け)です。東京藝術大学出身という共通項を持ちながら、声質もキャラクターも好対照な井口理と常田大希の声が交錯することで、主人公の精神世界が立体的かつドラマティックに展開されます。
冒頭から1番のサビにかけては、井口理の澄み切ったファルセット(裏声)と繊細なミックスボイスが主導権を握ります。まるで懺悔室で一人静かに神へと祈りを捧げるような、透明感と痛切な哀愁を帯びた響きが特徴です。漢字の読み方や響き(ふりがな)を大切にした母音の抜け感が、聴き手の胸にダイレクトに刺さります。
一方、2番のAメロから突如として空気を一変させるのが、常田大希の低音ボーカルとラップ調のアプローチです。井口が「祈り・精神・後悔」という内面的な光を担うとすれば、常田は「現実・摩擦・理不尽」という生々しい影の側面を体現します。この2つの声がサビでユニゾンおよびハーモニーとして重なり合う瞬間、個人の後悔という矮小な枠組みを超えて、圧倒的なカタルシスを生み出す構造になっています。