日本の映像史において、「戦う姐さん」という強力なパブリックイメージを決定づけたのは、間違いなく女優の岩下志麻である。彼女が主演を務めた金字塔的映画『極道の妻たち』シリーズは、それまでの男社会を舞台にした作品の枠組みを根底から覆した。
夫が服役中や抗争で命を落とした後、自ら組の看板を背負い、着物の裾を肌脱ぎにして背中の刺青を露わにする——。岩下志麻が見せた圧倒的な立ち振る舞いは、日本中の観客を魅了した。可憐で気品ある美しさと、極道の頂点に立つ冷徹な迫力。この二面性が合一したキャラクター造形こそが、今日のヴィジュアルイメージにおける「完璧な姐さん像」の原型となっている。