戦後の農地改革と財産税の導入は、かつての旧公爵・侯爵家を筆頭とする華族の経済的基盤を決定的に打ち砕いた。膨大な土地と資産は国家や第三者へ譲渡され、多くの旧名門が没落を余儀なくされたのは歴史の事実である。しかし、徹底的な追跡取材によって見えてきたのは、決して滅び去ったわけではない名門一族のしたたかな生存戦略だ。
旧公爵家である徳川宗家や近衛家、旧侯爵家である細川家や島津家などは、不動産管理会社や財団法人を設立することで一族の資産を巧妙に防衛してきた。都心の一等地に所有していた広大な邸宅跡地は、大手不動産デベロッパーとの共同開発によって超高層オフィスビルや高級賃貸マンションへと姿を変え、現在も莫大な賃料収入を一族にもたらしている。表向きは目立たぬよう控えめな生活を送る一方で、その実質の総資産が数百億円規模に達する旧家も決して珍しくない。血脈の重みと現代の金融リテラシーが融合した結果、彼らは現代日本の富裕層の最上位に密かに位置し続けているのだ。