ニシン調理において最大の課題となるのが特有の生臭さと小骨の多さです。これを鮮やかに解決し、皮はパリッと身はふっくらと仕上げるプロ直伝の下処理法が存在します。まず最初に行うべきは、魚の表面と腹の中に塩を適量振り、約15分間放置することです。これにより、臭みの原因となる不要な水分が浸透圧によって外へ引き出されます。
浮かび上がった水分はペーパータオルで徹底的に拭き取ります。さらに、少量の酒とレモン汁(または米酢)を軽くくぐらせることで、魚臭さを根底からシャットアウトすることが可能です。次に、皮目に1.5センチ間隔で斜めの浅い「隠し包丁」を入れます。この工程が熱の通りを均一にし、細かな小骨を熱で柔らかく仕上げると同時に、焼いた際の皮の破裂を防ぐ鍵となります。
焼きの工程では、魚焼きグリルやフライパンをしっかり予熱しておくことが鉄則です。強めの強火で皮目を一気に焼き固めることで旨味を閉じ込め、その後は中火に落としてじっくり芯まで熱を通します。表面の油がパチパチと音を立て、芳醇な香ばしさが立ち上れば完成の合図。箸を入れた瞬間に広がるジュワッとした肉汁と、驚くほど軽やかな食感に誰もが言葉を失うはずです。