「イルカの夢でさようなら」の正体|封印された謎と作者の意図を解剖

「イルカの夢でさようなら」の正体|封印された謎と作者の意図を解剖

「イルカの夢でさようなら」の正体|封印された謎と作者の意図を解剖の注目されている理由をコンパクトにまとめました。全体像を一目で把握できます。

サイトの知名度が高まるにつれ、ネット掲示板や初期のまとめブログを中心として「この作品には恐ろしい実話の背景がある」という噂が飛び交うようになりました。 最も根強く流布したのが、「ちひろ」という少女のモデルが、1980年代から1990年代に日本国内で発生した未解決の児童失踪事件や凶悪犯罪の被害者であるという説です。「水難事故で亡くなった子どもの遺品をもとに家族が制作した」「誘拐犯が被害者の遺族へのあてつけとして開設したサイバー犯罪ページ」といった、まことしやかな尾ひれが幾重にも重ねられました。 しかし、当時のドメイン情報やクリエイターコミュニティの交友関係、各種報道アーカイブを精査した結果、実在の犯罪事件や死亡事故と結びつく証拠は1件も確認されていません。 真実としての元ネタは、1990年代初頭から日本の前衛アートシーンやアンダーグラウンド演劇界で隆盛を極めた「アングラポルノ」「シュルレアリスム」「身体解体アート」の表現潮流にあります。当時のインディーズカルチャーやカルト的サブカルチャー誌(『ガロ』『危ない1号』など)を通過した個人制作者が、新興メディアだったインターネット空間をキャンバスに見立てて発表したパーソナルな前衛芸術作品だったというのが、現在における最も妥当な歴史的事実です。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。