ネットニュースや一部の論調では、数字が発表されるたびに「紅白はオワコン」「視聴率低下が止まらない」といった過激な見出しが躍ります。しかし、メディアの構造変化を専門的に分析すると、この言説には大きな誤解と盲点が含まれています。
見落とされがちな決定的なファクトが、「NHKプラス」をはじめとする見逃し配信の再生数激増です。同時配信および見逃し配信において、紅白歌合戦は全NHK番組中歴代1位となる驚異的な再生回数を毎年更新し続けています。リビングの大型テレビで家族全員が視聴する時代から、自室や移動中にスマートフォン・タブレット・PCを通じて個別に楽しむスタイルへと移行しただけであり、コンテンツとしての総接触者数は決して激減していません。
また、ビデオリサーチが提供する「総合視聴率(リアルタイム視聴とタイムシフト視聴の合算)」や「到達人数」のデータを紐解くと、日本国内の全人口の半分近くが何らかの形で紅白の放送に触れていることが分かります。民放各局がコアターゲット層(若年層)へのアプローチに苦戦する中、これほど幅広い世代の注目を同時に集め、SNSのトレンドを独占できるメディアパワーを持つ番組は、現在の日本に他に存在しません。