丹生川上神社下社で祀られている主祭神は、水の万物を司る龍神である闇龗神(くらおかみのかみ)だ。「龗」という難しい漢字は龍を意味し、谷合いの暗がりを流れる清流や雨を司る神霊とされる。
この神社最大の神秘にして圧巻の見どころが、拝殿の奥にそびえる山肌に沿ってまっすぐに伸びる75段の屋根付き木造階梯(かいてい)だ。一般の参拝者が登ることは叶わないが、拝殿越しに見上げるその光景は息を呑むほどの迫力を誇る。急傾斜の山腹を切り開いて造られた階段の先、本殿が鎮座する場所は、まさに神が降り立つ聖域そのものだ。
古くから伝わる龍神伝説では、この山中に眠る水の気が階梯を通じて拝殿、そして下界へと流れていると伝えられている。階梯の下から静かに手を合わせると、冷涼な神気が肌を撫で、心身の邪気が洗い流されるような感覚を覚えるはずだ。