手軽で達成感を味わいやすい500円玉貯金ですが、現代ならではの明確なデメリットと落とし穴が存在します。感情論に流されず、リスクを冷静に把握しておくことが不可欠です。
第1の盲点は、新500円玉(バイカラー・クラッド貨)の機械認識問題です。2021年に導入された新硬貨は、偽造防止のために外周と内側で異なる金属(ニッケル黄銅、白銅、銅)を組み合わせた2色構造を採用し、縁には「異形斜めギザ」が刻まれています。この精緻な構造ゆえに、旧型の飲料自動販売機、駅の旧型券売機、コインパーキングの精算機、一部のコインスナックなどでは、センサーが弾いてしまい投入口から戻ってくる事象が今なお散見されます。
第2の盲点は、タンス預金化に伴うインフレリスクと機会損失です。2024年から2026年にかけて継続する物価上昇局面において、利息が一切つかない現金を貯金箱に数年間眠らせておくことは、実質的な購買力の低下を意味します。また、自宅保管による空き巣や火災時の紛失リスク、地震による家屋倒壊時の回収困難リスクも無視できません。
第3の盲点は、法律上の利用枚数制限(通貨の強制通用力)です。「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」第7条において、貨幣は「額面価格の20倍まで」を限度として通用すると定められています。つまり、店舗側には1回の会計につき同一硬貨を20枚までしか受け入れる義務がありません。10万円分(200枚)の500円玉をそのまま高級レストランや家電量販店のレジに持ち込んで支払おうとしても、店舗側には法的に受け取りを拒否する権利があります。