欧州や北米、オーストラリア路線において、日系や欧州系キャリアが往復20万〜30万円台をつける中、中国東方航空は往復8万〜12万円台という半額以下の運賃を提示することが日常茶飯事です。「なぜ安いのか、安全面を削っているのではないか」と疑う声もありますが、この価格破壊の背景には明確な3つのビジネス構造が存在します。
第1に、中国政府による強力な航空産業支援とハブ空港戦略です。中国政府は自国の巨大ハブ空港(上海浦東など)を世界の乗り継ぎ拠点にするため、国際線を開設・維持する国有航空会社に対して手厚い補助金を投じています。外貨獲得とインバウンド・トランジット需要の囲い込みを狙い、採算ラインを極限まで下げた戦略的なディスカウント運賃を設定しています。
第2に、上海(浦東・虹橋)メガハブによる圧倒的なスケールメリットです。中国東方航空は600機を超える世界有数の大船団を運用しており、燃料の一括調達や整備の内製化、地上オペレーションの集約によって座席あたりの固定費(ユニットコスト)を極小化しています。上海を経由させることで、世界中から集めた乗客を効率よく長距離便に詰め込む高搭乗率モデルを確立しています。
第3に、人件費および基地運営コストの圧倒的な低さです。パイロットや客室乗務員、整備士、地上スタッフの基本給与水準や訓練拠点のコストは、日本や欧米のエアラインと比較して大幅に抑制されており、運賃設定に直接還元されています。