通常の水やお茶であってもボトルの変形や亀裂のリスクを孕んでいますが、それらとは比較にならないほど破滅的な事故を引き起こすのが炭酸飲料の冷凍です。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)や日本容器包装リサイクル協会の周知資料でも繰り返し警告されている通り、炭酸飲料を凍らせると爆発的な破損事故へと直結します。
炭酸飲料は、低温高圧の環境下で水の中に二酸化炭素(炭酸ガス)を強制的に溶かし込んで作られています。ところが、液体が凍結していくプロセスにおいて、水分子は純度の高い結晶を作ろうとするため、水中に溶け込んでいた気体成分は氷の外へと強烈に締め出されます。この現象を物理化学では「凍結濃縮」と呼びます。
凍結によって水そのものの体積が約1.1倍に膨張する物理的圧力に加え、氷から追い出された炭酸ガスが一気に気化して狭い空間内で急激に圧力を高めます。ダブルの圧力上昇に見舞われたペットボトル内部の圧力は、通常時の数倍にまで跳ね上がります。さらに悪いことに、プラスチック素材(PET樹脂)は低温環境下に置かれると柔軟性を失い、衝撃に対して脆くなる「低温脆性」という性質を示します。
カチカチに凍った状態でボトルの限界内圧を超えると、破裂音が響き渡るとともにプラスチック片が周囲に飛散します。あるいは、一見すると無傷に見えても内部に強烈なガス圧が閉じ込められており、室温に取り出した拍子やキャップに手をかけた瞬間にキャップが弾丸のように吹き飛び、顔面や眼球を直撃する大事故が発生しています。消費者庁の事故事例データでも、冷凍した炭酸飲料のキャップ飛翔による失明や顔面裂傷の重傷事例が過去に報告されており、どのような理由があっても炭酸飲料を凍らせてはなりません。